ほのやく

現役大学病院薬剤師がお薬や医療に関することについて語っていきます。

がん闘病中の生活での注意すべきことは?(性生活含めて)

抗がん剤治療中の私生活で気を付けることってどんなことがあるのでしょうか?

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お酒は飲んでいいの?

基本的には勧められません。しかし、抗がん剤投与中でなければ飲酒は可能です。飲む量としては、付き合い程度(ビール 2杯くらい)に留めておきましょう。

また、パクリタキセルドセタキセルなど使用する抗がん剤によってはアルコールが含有されているので、点滴後の運転は避ける必要があるので注意が必要です。抗がん剤の副作用防止のために服用している薬についても、眠気が出る薬もあるため注意が必要です。

 

たばこは吸ってもいいの?

たばこについては、肺がんなどがん種によってはリスク因子となるので、基本的には禁煙をするべきです。

ただ、医師から予後がわずかであることを告知されていたり、ホスピスへ移行された場合は残りの人生の生活の質を上げるために、喫煙を許可される場合もあります。

 

外出やスポーツは行ってもいいの?

特に制限はないため行ってもよいです。しかし、抗がん剤治療中であれば免疫が下がることが予想されるため、以下のことに注意が必要です。

  • 人混みを避ける
  • 手洗い、うがいをこまめに行う
  • マスクを着用する

ちなみに点滴であれば、抗がん剤投与を投与して約10-14日後に免疫機能が一番下がるので、その時期は特に注意が必要となります。

また、内服薬であればゼローダやTS-1など、注射薬であればアービタックスやベクティビックスといった皮膚障害を起こしやすい抗がん剤を使用している場合は、日焼け止めを使用し、長そでを着たり、日傘や帽子などで日焼け予防を行った方がよいとされています。

 

性生活はどうすればいい?

性行為自体は可能です。ただし、治療後の感染や出血のリスクが高い時期などは避けることが望ましいです。

また妊娠については、大多数の抗がん剤は催奇形性を起こす薬剤が多いため、男性女性ともに避妊が必要と考えてよいです。

妊娠希望がある場合は、主治医の先生と相談の上、治療とのバランスを考えた上でタイミングを図る必要があります。

 

抗がん剤治療を受ける日の過ごし方は?

吐気を予防するために、前日は十分に睡眠を取り、当日の朝食は控えめにした方がよいです。また、治療後は自覚症状がなくても可能な限り安静に過ごし、休養を取ることが大切です。

 

まとめ

がん治療を受ける上で注意すべきことはありますが、今まで行っていたことがすべて制限されるわけではありません。

神経質に考えすぎずに、がんと上手に付き合っていくんだという気持ちで生活を送ると気持ちも楽になると思います。