【味覚障害】味覚障害の治療法について【抗がん剤の副作用】
味覚障害の機序や原因については前の記事で説明した通りです。
今回は、味覚障害の治療法についておさらいしましょう。
味覚障害のアセスメント
味覚障害をきたす主な抗がん剤
アセスメントのポイント
- 使用中の抗がん剤で味覚障害が起こるかどうかを把握し、患者にあらかじめ説明しておくことが重要です。
- 鉄・亜鉛欠乏についてチェックしましょう。血清亜鉛濃度は一般的に70 μg/dL未満だと低値と判断してよいと思います。
- 口内炎・舌炎・舌苔などの口腔内病変がないかチェックしましょう。
- 自覚障害の把握については、CTCAEなどを利用するようにしましょう。自覚症状発言の時期・程度、使っている薬剤の把握、放射線治療歴などをきちんと把握しましょう。
味覚障害の治療
- 味覚障害の治療法は対症療法であり、必ずしも確立されたものではありません。
- 亜鉛欠乏の場合はノベルジンやプロマックの使用も考慮しましょう。効果の発現までには数週~数か月程度かかるといわれています。
- 注意点としては、ノベルジンは血清銅の測定を行う必要があること(もともとウィルソン病に適応があるので当然ですよね)、プロマックは適用外使用となること、硫酸亜鉛は院内製剤での対応となることです。
- 抗がん剤以外で原因となっている薬剤があれば中止を考慮しましょう。
- 抗がん剤投与に伴い、粘膜炎(口内炎・舌炎)を合併していることが多いため、口腔ケアを徹底して行うように説明しましょう。可能であれば、歯科衛生士に協力していただくのも一つです。
- 舌苔があれば除去し、口腔内カンジダ症があれば、局所・全身の抗真菌薬投与を考慮しましょう。
- 口腔内乾燥がひどい場合は、サリベートなどの投与も一つです。
食事における工夫
- 味覚障害の訴えとして、「味がしない」「まずい」「砂を噛んでいるよう」「味が濃い」「苦味に敏感になった」「甘味に敏感になった」などと多岐にわたります。食べられないときは食事摂取を強要せずに、食べられるものを選択して摂取するように勧めましょう。
- 亜鉛不足を食事で補いたいがどんなものを食べればよいかと患者から聞かれる場合があります。亜鉛を多く含む食材は、カキ、ウナギ蒲焼、豚肉(レバー)、牛肉(肩ロース)、鶏肉(もも皮なし)、卵黄、納豆、カシューナッツ、そら豆、もちなどが該当するため、これらを勧めてみてもよいかもしれません。