ほのやく

現役大学病院薬剤師がお薬や医療に関することについて語っていきます。

【抗がん剤副作用】ドセタキセルの浮腫の原因・治療法について

ドセタキセルを投与している患者さんに、浮腫を訴えられる方がいらっしゃいます。

そういった患者さんに出会った際に、どのように対応すればいいのでしょうか?

また、ドセタキセルには浮腫といった特徴的な副作用が起きるのでしょうか?

 

f:id:mana2525:20200623181718j:image

 

ドセタキセルで浮腫はなぜなぜ起こるのか?

浮腫は血液中の水分が血管外に染み出して、体の中にとどまった状態です。

ドセタキセルの浮腫は、血管の浸透圧に変化が起こり、血液中の水分保持作用があるタンパク質が血管外に漏れ出すことが原因と考えられています。

総投与量が300~400mg/㎡に達すると発生しやすいと言われており、約半数近くの方に症状がでます。特にタキサン系の抗がん剤は、婦人科がんや乳がんで使用されることが多く、リンパ浮腫との見分けがつきにくいです。

 

浮腫がおこるとどうなるのか?

下肢の浮腫から全身性浮腫へ移行します。重篤になると、胸水や腹水がたまってしまい、息苦しさや呼吸困難につながる恐れがあります。

日常生活においては、足が靴に入らなくなることもあります。

 

対策・治療法

顔や四肢の観察を行うこと、毎日同じ時間に体重測定を行ってもらい(体重は日内変動があるため)、体重増加時に医療従事者へ仰っていただく必要があります。

予防法として、day2ー3にデキサメタゾン 4mg/day を2日間内服することが推奨されています。

また治療法としては、利尿薬を服用し水分を体の外に出すことが重要です。