ほのやく

現役大学病院薬剤師がお薬や医療に関することについて語っていきます。

がん闘病中の食事はどうすればいい?

がんとの闘病生活が始まったとき、一体食事は何に気を付ければいいのでしょうか?

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バランスよく食事を摂ること

まず必要なことは、バランスよく食事を摂ることです。バランスよく食事を摂るというのは、食べすぎ、食べなさすぎをやめる、野菜をしっかり摂るといったことです。

しかし、抗がん剤治療によっては、吐気がしたり食欲が出ないこともありなかなか思うように食事が摂れないかたがいるのも事実。

そのため言えることは、食べられるものを無理なく摂り体重を落とさないようにする、すなわち体力を落とさないようにするということです。

体力が落ちてしまっては、抗がん剤治療が行えなくなることもしばしば。

基本的には食事には制限がないため、食べられるものを食べることを心掛けるとよいと思います。ただし、抗がん剤によっては、高脂肪食であったりグレープフルーツを摂取することには気を付けなければなりませんので注意が必要です。

 

そもそも高脂肪食って?

まず高脂肪食とは、脂肪分が多く、高エネルギーな食物(約900~1000kcal)のことをいいます。具体的には、ハンバーグやとんかつなどの揚げ物、フライドポテトなどが挙げられます。

 

高脂肪食はなぜだめなのか?

ネクサバールやレブラミドといったお薬は高脂肪食の食事を摂った後に内服すると、薬の吸収量を低下させて効果を弱めることがあります。

ただ、すべての薬剤が高脂肪食がだめというわけではなく、服用する薬によって変わってくるため、不安な方は医師や薬剤師に確認するのがよいと思います。

 

高脂肪食を食べたいときはどうすればいい?

ネクサバールやレブラミドなどを服用している方はお肉とか食べられないのかというとそういうわけではありません。食べ方を工夫すればいいのです。

例えば、お肉はゆでたり、蒸すなどしてあらかじめ脂肪分を落とした後に調理したりするとよいです。

また、高脂肪食を食べた後2時間程度あけてからお薬を服用すればよいです。

 

グレープフルーツはなぜだめなの?

グレープフルーツには、CYP3A4といってお薬を代謝する酵素の一部を阻害する働きがあります。

つまり、

薬の代謝ができなくなってしまう→体の中の薬の濃度が上がる→副作用が強く出る、というように体にとって悪い影響が出てしまいます。

さらに、このグレープフルーツの作用は数日続くといわれているので、グレープフルーツによる影響をを受ける薬を服用中の方は、グレープフルーツは摂取しないようにしなければなりません。

 

どんな薬がだめなの?

注射薬だとカンプト、ドセタキセルなど。

内服薬だとグリベック、アフィニトールなど。

グレープフルーツをお薬の関係は、また後日詳しく記事をあげますね。

 

まとめ

  • がん闘病中は、基本的には食事に制限がないので、食べられるものをしっかり食べて体力を落とさないこと
  • 薬によっては、高脂肪食やグレープフルーツに注意が必要なので、薬剤師に確認する

これらのことを意識して、闘病生活を乗り越えていきましょう。